①労働者の心の健康確保をめぐる状況

職業生活等に関して強い不安やストレスを感じる労働者が5割を超え、仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病し、労災認定される労働者が令和2年度は608件となっています。
また、自殺者は平成22年以降減少傾向が続いていましたが、令和2年は増加に転じ21,081人となりました。
性別では男性は引き続き減少していますが、女性は令和元年に対して935人増加しています。
年代別では、50~60歳代が減少しているのに対して40歳代以下は増加しており、特に20歳代が404人増と大幅に増加しています。
また、職業別では被雇用者・勤め人が6,742人と540人増加し全体に占める割合も32.0%と高い割合となっています。
このような状況において、急激に進んだテレワークにおける孤立、孤独対策を含めた職場のメンタルヘルス対策に関する取組みは重要な課題となっています。

一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は、61.4%(令和2年)となっていますが、第13次労働災害防止計画(13次防)では令和4年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上とする目標を掲げています。
なお、平成27年に施行となったストレスチェック制度を踏まえた当面のメンタルヘルス対策の推進について、国の基本方針と実施事故が示されています(平成28年4月1日付け基発0401第72号)。
ストレスチェック制度の実施とあわせて、より一層、事業場における積極的な取り組みが期待されます。

また、「『過労死等ゼロ』緊急対策を踏まえたメンタルヘルス対策の推進について」(平成29年3月31日付け基発0331第78号)により、各都道府県労働局長は、精神障害に関する労災支給決定が行われた事業場等や、違法な長時間労働が認められる等の事業場に対するメンタルヘルス対策の監督指導を進めることとされています。