潜函工法などの圧気工法における高圧室内業務や潜水業務においては、高気圧下で作業を行うことにより、体内の酸素、窒素、二酸化炭素の分圧が高まることによる酸素中毒、窒素中毒、二酸化炭素中毒、高気圧から大気圧への減圧による減圧障害、といった高気圧障害になるおそれがあります。
そのため、高気圧作業安全衛生規則(以下「高圧則」)により規制がされています。
主な高気圧障害の特徴は次のとおりです。
①酸素中毒
大気圧下における空気中の酸素の分圧は20kPa(0.2気圧)程度だが、160kPa(1.6気圧)を超える程度の高い分圧の酸素を吸入すると中枢神経が冒される急性酸素中毒となり、吐き気、めまい、視野狭窄、呼吸困難、痙攣(けいれん)発作などの症状が生じる。
また、50kPa(0.5気圧)を超える分圧の酸素を長時間呼吸すると肺が冒される慢性酸素中毒となり、胸部違和感、咳・痰、肺活量の減少などの症状が生じる。
②窒素中毒(窒素酔い)
400kPa(4気圧)を超える程度の高い分圧の窒素を吸入すると、麻酔作用により飲酒時のように愉快で大雑把になり、判断力が低下するなどの症状が生じる。
③二酸化炭素中毒
体内の二酸化炭素が過剰になって正常な生体機能を維持できなくなった状態で、頭痛、めまい、発汗、意識障害などの症状が生じる。
④減圧障害
- 空気(動脈ガス)塞栓症
急速に浮上したり、十分に息を吐かずに浮上した場合に、肺が過膨張となり、行き場を失った肺内の空気が肺胞を傷つけ、肺の間質気腫を起こす。
さらに、肺の毛細血管に空気が侵入し、気泡状となって動脈を経由し、脳動脈などを閉塞し、意識障害や脳梗塞を引き起こす。 - 減圧症
加圧により体内組織の不活性ガスの溶解量が増加し、減圧のときに減圧の速度が速いと、溶解した不活性ガスの体外への排出が追いつかずに体内で気泡化し、血液循環を阻害したり組織を圧迫し て、皮膚のかゆみ、関節や筋肉、胸部・腹部の痛み、運動障害、めまい、意識障害などの症状が生じる。