④情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等

情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について
令和3(2021)年3月31日 基発0331第4号)

近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施することへのニーズが高まっていること等を踏まえ、実施に当たっての考え方及び実施時の留意事項を示が示されました。
主な内容は下記の通りですが、詳細については通達を参照ください。

医師による面接指導

労働安全衛生法で規定されている医師による面接指導(長時間労働者、高ストレス者)について、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」(平成27年9月15日付け基発0915第5号:最終改正 令和2年11月19日基発1119第2号)で示す次の留意事項を遵守するとともに、面接指導を実施する医師が必要と認める場合には直接対面により実施すること。

面接指導について
労働安全衛生法第66条の8第1項において、面接指導は「問診その他の方法により心身の状態を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこととされており、医師が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況、その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報をもとに必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものであるため、労働者の様子を把握し、円滑にやり取りを行うことができる方法により行う必要がある。

作業環境の維持管理および作業管理

作業環境の維持管理及び作業管理に係る産業医の定期巡視の実施は、実地で作業環境や作業内容等を確認する必要がある。
製造工程や使用する化学物質を変更する等、事業場の作業環境や作業内容等に大きな変更が生じる場合は、産業医が実地で確認することが適当であること。

衛生教育

情報通信機器を用いて遠隔で実施する際は、「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日付け基安安発0125第2号、基安労発0125第1号、基安化発0125第1号)に基づき実施する。

労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置

労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止対策の策定について、医学に関する専門的知識を踏まえた検討を行うことが求められているものであり、視覚や聴覚を用いた情報収集だけでなく、臭いや皮膚への刺激等臭覚や触覚による情報を得る必要もあることが想定されることから、原則として事業場において産業医が実地で作業環境を確認する。
ただし、労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置について取りまとめられた報告書等を確認する等により、事業場において産業医が実地での作業環境等の確認が不要であると判断した場合には、この限りでない。

定期巡視

産業医の定期巡視については、少なくとも毎月1回(労働安全衛生法規則第15条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)、産業医が実地で実施する必要がある。

安全衛生委員会等への出席

情報通信機器を用いてオンラインで開催される安全衛生委員会等へ出席する際は、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27日付け基発0827第1号)に基づき、次のいずれかの要件を満たして運営するものである必要がある。

a) 対面により安全委員会等を開催する場合と同様に、情報通信機器を用いた安全委員会等において、委員相互の円滑な意見交換等が即時に行われ、必要な事項についての調査審議が尽くされていること。
b) 情報通信機器を用いた安全委員会等は上記 a) によって開催することを原則とするが、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能となるよう、開催期間、各委員への資料の共有方法及び意見の表明方法、委員相互で異なる意見が提出された場合の調整方法、調査審議の結果を踏まえて事業者に対して述べる意見の調整方法等についてあらかじめ安全委員会等で定められている場合は、電子メール等を活用した即時性のない方法により開催して差し支えないこと。