①労働者の心の健康確保をめぐる状況

職業生活等に関して強い不安やストレスを感じる労働者が5割を超え、仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病し、労災認定される労働者が令和5年度は883件となっています。
(因みに令和2年度は608件)
また、自殺者は平成22年以降減少傾向が続いていましたが、令和5年は増加に転じ21,837人となりました。
性別では男性は14,862人、女性は6,975人となっています。
また、職業別では有職者(被雇用者・勤め人、自営業・家事従事者)が、8,858人で全体に占める割合は40.6%と高い割合となっています。
このような状況において、急激に進んだテレワークにおける孤立、孤独対策を含めた職場のメンタルヘルス対策に関する取組みは重要な課題となっています。

一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は、63.8%(令和5年「労働安全衛生調査:実態調査」)となっていますが、第14次労働災害防止計画(14次防)では令和9年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上とする目標を掲げています。
なお、平成27年に施行となったストレスチェック制度を踏まえた当面のメンタルヘルス対策の推進について、国の基本方針と実施事項が示されています(平成28年4月1日付け基発0401第72号)。
ストレスチェック制度の実施とあわせて、より一層、事業場における積極的な取り組みが期待されます。

また、「『過労死等ゼロ』緊急対策を踏まえたメンタルヘルス対策の推進について」(平成29年3月31日付け基発0331第78号、改正:令和4年3月31日付け基発0331第33号、雇均発0331第5号)により、各都道府県労働局長は、精神障害に関する労災支給決定が行われた事業場等や、違法な長時間労働が認められる等の事業場に対するメンタルヘルス対策の監督指導を進めることとされています。