①高年齢労働者の安全と健康確保をめぐる状況

わが国の健康寿命は世界最高水準となり、今後更なる延伸が期待される人生100年時代を迎え、高齢者から若者まですべての人が元気に活躍でき、安心して暮らせる社会づくりが求められています。

総務省の労働力調査によれば、60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加しており、わが国では、高齢者が働くことは特別なことではなく、年齢にかかわりなく働く社会へ向かいつつあります。

こうした中で、労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者が占める割合は増加傾向にあり、令和2年には、休業4日以上の死傷者の26.6%が60歳以上という状況になっています。

高齢者の身体機能は、近年向上しているとはいえ、壮年者に比べて聴力、視力、平衡感覚、筋力等の低下が見られ、高齢者の労働災害を防止するためには、その特性に応じた的確な対応が必要です。

一方、事業場の取組み状況をみると、高齢者の労働災害防止対策に何らか取り組んでいる事業の割合は81.4%であり、取り組み内容別にみると、「本人の身体機能、体力等に応じ、従事する業務、就業場所等を変更」が45.7%、「作業前に体調不良等の異常がないかを確認」が38.7%となっています。