機械設備の安全化の手順(保護方策)

リスクアセスメント実施後は、3ステップメソッドと呼ばれる優先順位にしたがって保護方策を実施していくことになります。

<ステップ1>

本質的安全設計⽅策(機械包括安全指針別表第2)

本質的安全設計方策は、ガードまたは保護装置を使用するのではなく、機械の設計または運転特性を変更することによりリスクを低減する保護方策とされています。

  • 設計上の配慮・工夫により、危険源(危険性⼜は有害性)そのものを無くす、または危険源に起因するリスクを低減する、なたは危険源になることを防止する。
  • 作業者が危険領域に⼊る必然性を無くす、または頻度を低減する。
<ステップ2>

安全防護(機械包括安全指針別表第3)

安全防護は、ガードおよび保護装置による保護方策で、離隔と停止の原則の応用となります。

  • ⼈が危険源に接近・接触できないようにする⽅法。
    --固定式ガード、可動式ガード・・・
  • 保護装置(光線式安全装置、マットレスなど)により⾝体の⼀部が限界を超えて危険源に近づいたとき機械を停⽌する⽅法。
    --インターロック装置、光線式安全装置、両手操作制御装置、イネーブル装置、ホールド・ツゥ・ラン制御装置・・・

付加保護⽅策(機械包括安全指針別表第4)

付加保護方策は、労働災害に至る非常事態からの回避等のためのハード対策ではありますが、「人が操作してあるいは正しく使用して有効となる」保護方策です。
(人の安全確保動作を必要としない安全防護とは区別されています)

  • 非常停止機能(非常停止装置)
  • 拘束された人の脱出および救助手段
  • エネルギーのしゃ断および除去の手段
  • 機械および重量物の運搬・取扱い手段
  • 機械類への安全な接近手段(階段・デッキ・手すり等)
<ステップ3>

使⽤上の情報の提供(機械包括安全指針別表第5)

上記ステップの方策を実施しても、低減されなかった「残留リスク」について、メーカーはユーザーに「使用上の情報」として、「標識・警告表示」「警報装置の設置」「取扱説明書」等により提供・実施する必要があります。
(ここにおいて、本質安全設計方策、安全防護または付加保護方策が適用できるにもかかわらず、使用上の情報の提供で代替することは禁止されています。)

ユーザーは、メーカーからの使用上の情報および機械危険情報に基づきリスクアセスメントを実施し、上記本質安全設計方策、安全防護または付加保護方策を検討実施しますが、最後に残った「残留リスク」について、「作業手順の整備」「教育・訓練」等を実施し、必要により「個人用保護具」の使用を検討することになります。

機械の安全化に関して、機械包括安全指針は必須要求事項の大要を示していますが、具体的に機械のリスク低減を図るには機械安全に関するJIS規格(ISO/IEC規格)を活用する必要があります。