定期健康診断の結果は、半数以上が有所見(異常の所見のある者)という状況です。
また、脳血管疾患および虚血性疾患等の脳・心臓疾患も高水準にあります。
労働者の健康管理には、健康診断の的確な実施とその結果に基づく事後措置や保健指導が必要です。
一方、労働者にも自主的な健康管理が求められます。
事業者は、健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知する必要があります。
また、健康診断で異常所見があると診断された労働者については、当該労働者の健康保持のための必要な措置について、3ヵ月以内に、医師または歯科医師の意見を聴き、その意見の内容を健康診断個人票に記載することとされています。
さらに、事業者は医師または歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置または整備、当該医師または歯科医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置を講じなければなりません。
また、健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対しては、医師または保健師による健康指導を行うよう努めることとされています。
このような健康診断実施後の措置に関しては、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」が公表されています(平成8年10月1日付け健康診断結果措置指針公示第1号)。
この指針には、事業者が講ずべき健康診断の結果に基づく就業上の措置の実施及び留意事項等が定められています。
具体的には、医師の職場巡回や労働者との面接機会の提供、就業上の措置を講じる際の労働者の意見聴取、衛生委員会等への医師等の意見報告、関係担当者との連携等の留意事項が示されています。
さらに、プライバシーに配慮するとともに、当該労働者と十分な話し合いを通じ、当該労働者の了解が得られるように努めること等も示されています。
なお、「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」(平成29年5月29日付け基発0529第3号)では、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」(平成28年11月個人情報保護委員会)に基づき、健康情報の保護に留意し、適切な取り扱いを確保するよう事業者に求めています。