リスク低減措置の実施に際しては、次のことに留意する必要があります。
- 作業者が化学物質を取り扱うすべての過程、製造、 貯蔵、出荷、運搬、廃棄などが対象となること。
- SDSなどの危険有害情報を有効に活⽤すること。
特に爆発・⽕災事例を収集して関係者に周知することは、爆発・⽕災の危険性に対する感受性を⾼める上でも重要となる。 - 化学物質管理者もしくは化学物質管理者の管理の下で化学物質の安全に詳しい者などを担当させること。
また、外部の専門家や機関に相談・協⼒を依頼できる体制を作っておくことも⼤切である。 - 化学物質を取り扱う設備や装置の故障(不具合)、作業者によるミス(ヒューマンエラー)、台風や豪雨などの自然災害、大規模停電などが発生した場合などについても考慮しておくこと。
これらは化学物質の危険性を顕在化させ、不安全状態や爆発・火災発生のきっかけとなる。 - 爆発・⽕災発生につながるシナリオを検討する際には、燃焼の3要素(「可燃物:可燃性物質」「酸素供給源:支援物」「着火源」)が揃うかどうか調べること。
可燃性や引火性を有する化学物質が酸素(空気)と接触または混合することで爆発性雰囲気が形成され(不安全状態となり)、同時に着火源が発現することにより爆発・火災が発生する。
また、化学物質の燃焼の未然防止のためにはこの3要素のうち、少なくとも1つを存在しない状態にすることがポイントとなる。
リスク低減措置の実施に際しては、次のことに留意しなければなりません。
- ⽣じる被害の⼤きさ、広範な影響を考慮して、危険性のない、またはより危険性の低い物質や⼯程への変更などの本質的な安全化を優先すること。
- 使⽤する電気機械器具は防爆性能を有するものとすること。
帯電防⽌や静電気除去の措置など着⽕源対策の検討も重要であること。 - リスク低減措置を講じても、なお残るリスク(残留リスク)については、安全衛⽣委員会の機会などを通じ労働者に周知徹底すること。
リスクアセスメントとリスク低減措置の検討フロー
- 発火・爆発危険性の把握(Step1)
取り扱う化学物質やプロセス・作業及び設備・機器に潜む発火・爆発危険性を洗い出し、把握する。 - 発火・爆発危険性の特定(Step2)
事故事例などを参考に、発火・爆発危険性が顕在化するシナリオを検討する。 - 安全化対策の妥当性の評価(Step3)
発火・爆発危険性が顕在化した場合の影響を最小化するための安全化対策(リスク低減措置)の導入状況を確認し、対策の妥当性を評価する。 - リスク程度の判定(Step4)
Step1~3を踏まえ、リスクの程度を判定する。
リスクが大きいと判定される場合、リスク低減措置の導入を検討し、再度、リスク 程度を判定する。
化学物質以外にも、爆発のおそれのある作業については、リスクアセスメントを⾏い、措置を講じることが必要です。
また、リスク低減措置を実施した後は、その目的を果たすために、常にリスク低減措置の機能を維持することが重要です。