⑦化学物質の有害性の調査

化学物質の有害性を的確に把握し、疾病の適切な予防措置をとるため、安衛法において、化学物質の有害性調査び制度が定められています。

新規化学物質の有害性調査制度は、以下のとおり、新規化学物質が職場に導入される前に、事業者に、その有害性を調査させ、必要な健康障害防止措置を講じさせることによって、労働者の健康障害を未然に防止するものです。

① 新規化学物質を製造または輸入しようとする事業者は、あらかじめ化学物質の有害性の調査を行ない、その結果を厚生労働大臣に届け出ること( 当該新規化学物質を試験研究のために製造・輸入する場合、また一定量(1年間100kg)以下で製造・輸入することについて厚生労働大臣の確認を受けた場合などを除く)
なお、化学物質の有害性調査は、微生物を用いる変異原性試験(細胞の遺伝子に突然変異を引き起こすかどうかを調べる試験)または、がん原性試験とされています。

② 有害性の調査を実施した事業者は、その結果に基づいて自主的に労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じること。

③ 厚生労働大臣は、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、必要があると認めるときは、設備の密閉化や保護具の備え付けなどの措置を講じることを勧告することができる。

既存化学物質の有害性調査制度は、以下のとおり、有害性の知見等が得られた化学物質を対象に、国が変異原性試験、がん原性試験を実施し、その結果に基づき、ばく露実態の把握、リスク評価を行った上で、特別規則の制定や指針等を定め、労働者の健康障害を防止するものです。
国は、一般の試験施設で実施することが困難ながん原性試験等を実施するため(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所において、長期または短期の吸入試験等の有害性調査を実施しています。