②有機溶剤による中毒予防の規制

有機溶剤は、さまざまな職場で、塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されています。
有機溶剤は、常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって作業者の呼吸器から吸収されやすく、また、脂肪を溶かす性質があることから皮膚からも吸収されます。
有機溶剤の濃度の高い蒸気を吸入すると、中枢神経が作用を受けて急性中毒を引き起こすほか、低濃度であっても長期間吸入すると肝臓、造血器等に作用し慢性中毒を引き起こします。

有機溶剤中毒予防規則においては、44種類の有機溶剤を有害性の程度等により、第 1種、第2種および第3種の3つに分類し、発散源を密閉する設備または局所排気装置等の設置、作業主任者の選任、局所排気装置等の定期自主検査、作業環境 測定、健康診断の実施、保護具の使用、貯蔵および空容器の処理などについて規制しています。

最近の有機溶剤中毒の発生例をみると、ほとんどが通気の不十分な場所での取り扱い作業で発生しています。
その原因としては、不十分な換気、呼吸用保護具の未着用、衛生管理者や作業主任者の未選任の他に、作業者に対する有機溶剤中毒防止のための労働衛生教育の不足などが指摘されています。

なお、有機溶剤中毒の大部分は、トルエン、キシレンなど第2種有機溶剤によって発生しています。