⑥事業場における治療と仕事の両立支援

疾病や障害を抱える労働者のなかには、仕事上の理由で適切な治療を受けられない場合や、疾病に対する労働者自身の不十分な理解や、職場の理解・支援体制不足により、離職に至ってしまうことが少なくありません。
一方診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病においても「長く付き合う病気」に変化しつつあります。
病気になったからといって、必ずしもすぐに離職しなければならないという状況ではなくなってきています。
労働力の高齢化が進む中で、事業場において疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となってくることが予想されます。

このような状況を踏まえ、平成28年2月「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)を公表されています。
ガイドラインでは、職場における意識啓発の研修や治療と職業生活を両立しやすい休暇体制・勤務制度の導入などの環境整備、治療と職業生活の両立支援の進め方に加え、特に「がん」について留意すべき事項が取りまとめられています。

その後、平成29年3月から毎年改定が行われ、最新は令和6年3月に改訂版(ピンクガイドライン)が公表されています。
これまでに「がんに関する留意事項」、「脳卒中に関する注意事項」、「肝疾患に関する留意事項」、「難病に関する留意事項」、「心疾患に関する留意事項」、「糖尿病に関する留意事項」が掲載されています。

また、平成30年3月に治療と仕事の両立支援のため、企業と医療機関が情報のやり取りの参考となるよう、ガイドライン掲載の様式例に沿って各様式例の作成のポイントを示した「企業・医療機関連携マニュアル」が公表されています(令和3年3月改訂)。

全国の産業保健総合支援センターでは、患者(労働者)と事業者の個別調整支援、事業場及び患者(労働者)からの相談、啓発セミナー、情報提供、事業場への個別訪問支援を行っています。