非密封の放射性物質を取り扱う作業では、放射性物質の飛沫等が空気中に広がったり、身体、衣服、設備機器等の表面に付着したりする汚染が生じます。
汚染が生じると、作業者が呼吸によって体内に放射性物質を取り込んだりするほか、皮膚に傷口があったりすると、その傷口から放射性物質が体内に入ることがあります。
この場合、体内から放射線に被ばくすることとなり、放射性物質が体外に排泄されるまで被ばくが続きます。
この被ばくのことを内部被ばくと呼びます。
なお、体内に入った放射性物質は、その化学的性質等によって吸収や排泄の速度が異なるほか、特定の臓器に集まる性質もあり、放射性物質の種類によって、同量の摂取であっても被ばくの程度が異なります。
内部被ばくを防止するためには、以下に示すとおり、汚染をできる限り少なくすることが基本となります。
なお、放射線源が密封されていても、その程度は使用目的な放射線の種類によって異なるので、それぞれの線源の密封の程度を把握するとともに、漏洩検査を定期的に実施して異常の有無を確認することが必要です。
ア.汚染区域の隔離
管理区域を設定するとともに、非密封の放射性物質は放射性物質取り扱い作業室内で取り扱います。
イ.汚染管理
放射性物質のガス、蒸気または粉じんの発散源を密封する設備または局所排気装置を設けて、空気中の放射性物質の濃度を一定限度以下に抑え、定期的な作業環境測定によってこれを確認します。
設備機器等の表面汚染についても、定期的に検査、測定して、一定限度以下に抑えるとともに、放射性物質取扱い作業室から外部に退出するときや、そこから物品を持ち出すときは、必ず汚染の状況を検査します。
放射性廃棄物の処理、貯蔵、保管、廃棄等に当たっては、放射性物質が漏れたり飛散することのないように、適切な材料および構造の容器、設備によらなければなりません。
ウ.作業管理
外部被ばく防護の場合と同様の作業管理を行うほか、放射性物質取扱い作業室には、専用の作業衣を備え、汚染の危険度の高い作業では適切な保護衣類、手袋、履物、呼吸用保護具等を使用します。