<作業管理>
A.自動化、省力化
作業の全部または一部を自動化または省力化し、労働者の負担を軽減することが望ましいが、それが困難な場合には、適切な補助機器や道具、介護・看護作業等においては福祉用具等を導入すること。
B.作業姿勢、動作
- 前屈、中腰、ひねり、後屈ねん転等の不自然な姿勢をとらないこと。
適宜、前屈や中腰姿勢は膝をついた姿勢に置き換え、ひねりや後屈ねん転は体ごと向きを変え、正面を向いて作業をするよう心がける。
また、作業時は、作業対象にできるだけ身体を近づけて作業すること。 - 不自然な姿勢をとらざるを得ない場合には、前屈やひねり等の程度をできるだけ小さくし、不自然な姿勢をとる頻度と時間を減らすようにすること。
また、適宜、台に寄りかかり、壁に手をつき、床に膝をつく等をして身体を支えること。 - 作業台や椅子は適切な高さに調節すること。
立位、椅座位に関わらず、作業代の高さは腕の曲げ角度がおよそ90度になる高さとすること。
椅子座面の高さは、足裏全体が着く高さとすること。 - 立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間とらないようにすること。
長時間の立位作業では、足台や座面の高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢をとるように心がける。 - 腰部に負担のかかる動作では、姿勢を整え、かつ、急激な動作を避けること。
また、腰部の不意なひねりを避けること。
持ち上げる、引く、押す等の動作では、膝を軽く曲げ、呼吸を整え、下腹部に力を入れながら行うこと。 - 転等や滑り等の防止のために、足もとや周囲の安全を確認するとともに、不安定な姿勢や動作をとらないようにすること。
また、大きな物や重い物を持っての移動距離は短くし、人力での階段昇降は避け、省力化を図ること。
C.作業の実施体制
- 作業時間、作業量等の設定に際しては、作業に従事する労働者の数、作業内容、作業時間、取り扱う重量、自動化等の状況、補助機器や道具の有無等が適切に割り当てられているか検討すること。
- 無理に1人で作業するのではなく、複数人で作業できるようにすること。
人員配置は、労働者の健康状態(腰痛の有無を含む)、特性(年齢、性別、体格、体力等)、技能・経験等を考慮して行うこと。
D.作業標準
- 作業標準の策定
標準的な作業動作、作業姿勢、作業手順、作業時間等をもとに作業標準を策定すること。 - 作業標準の見直し
作業標準は定期的に確認し、また新しい機器、設備等を導入した場合にも、その都度見直すこと。
E.休憩・作業量、作業の組合せ等
- 適宜、休憩時間を設け、その時間には姿勢を変えるようにすること。
作業時間中にも、小休止・休息が取れるようにすること。
また、横になって安静を保てるよう十分な広さを有し、適切な温度に調節できる休憩設備を設けるよう努めること。 - 不自然な姿勢をとらざるを得ない作業や反復作業等を行う場合には、他の作業と組み合わせる等により、当該作業ができるだけ連続しないようにすること。
- 夜勤、交代勤務および不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにすること。
- 過労を引き起こすような長時間勤務は避けること。
F.靴、服装等
- 作業時の靴は、足に適合したものを使用すること。
ハイヒールやサンダルを使用しないこと。 - 作業服は、重量物の取扱い動作や適切な姿勢の保持を妨げないよう、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとすること。
- 腰部保護ベルトは、個人により効果が異なるため、一律に使用させるのではなく、個人ごとに効果を確認してから使用の適否を判断すること。