④化学物質をめぐる制度改正 <2>

リスクアセスメントの結果と、その結果に基づき事業者が講ずる労働者の健康障害を防止するための措置の内容等は、関係労働者に周知するとともに、記録を作成し、次のリスクアセスメント実施までの期間(ただし、最低3年間)保存しなければならない。

労働災害の発生またはその恐れのある事業場について、労働基準監督署長が、その事業場で化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると判断した場合は、事業場の 事業者に対し、改善を指示することができる。
なお、改善の 指示を受けた事業者は、化学物質管理専門家から、リスクアセスメントの結果に基づき講じた措置の有効性の確認と望ましい改善措置に関する助言を受けた上で、1ヵ月以内に改善計画を作成し、労働基準監督署長に報告し、必要な改善措置を実施しなければならない。

a.リスクアセスメントの結果に基づき事業者が自ら選択して講じるばく露防止措置の一環としての健康診断の実施・記録作成等

  • リスクアセスメントの結果に基づき事業者が自ら選択して講ずるばく露防止措置の一環として、リスクアセスメント対象物による健康影響の確認のため、事業者は、労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師等(医師又は歯科医師)が必要と認める項目の健康診断を行ない、その結果に基づき必要な措置を講じなければならない。
  • (2)a②の濃度基準値設定物質について、労働者が濃度基準値を超えて暴露した恐れがあるときは、速やかに、医師等による健康診断を実施しなければならない。
  • 上記の健康診断(リスクアセスメント対象物健康診断)を実施した場合は、その記録を作成し、5年間(がん原性物質に関する健康診断は30年間)保存しなければならない。

b.がん原性物質の作業記録の保存

リスクアセスメント対象物のうち、労働者にがん原性物質を製造し、または取り扱う業務を行わせる場合は、その業務の作業歴を記録しなければならない。
また、その記録を30年間保存しなければならない。

a.選任が必要な事業場

リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、または譲渡提供をする事業場(業種・規模要件なし)では、化学物質管理者を選任しなければならない。
化学物質管理者の選任は、個別の作業現場ごとではなく、工場、店社、営業所ごとに行う。
事業場の状況に応じ、複数名の選任も可能。
なお、一般消費者の生活の用に供される製品のみを取り扱う事業場は、対象外。

b.選任要件

リスクアセスメント対象物の製造事業場は、専門的講習の修了者から選任する。
リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場は、資格要件はないが、専門的講習に準ずる講習等の受講が推奨されている。

c.職務

化学物質管理者の職務は次のとうり。

  1. ラベル・SDS等の確認
  2. 化学物質に関わるリスクアセスメントの実施管理
  3. リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択、実施の管理
  4. 化学物質の自律的な管理に関わる各種記録の作成・保存
  5. 化学物質の自律的な管理に関わる労働者への周知、教育
  6. ラベル・SDSの作成(リスクアセスメント対象物の製造事業場の場合)
  7. リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応

リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業場では、保護具着用管理責任者を選任しなければならない。
選任要件は、化学物質の管理に関わる業務を適切に実施できる能力を有する者となっている。
保護具着用管理責任者の職務は、有効な保護具の選択、労働者の使用状況の管理その他保護の管理に関わる業務となっている。