新たな化学物質規制の制度導入 -4-
(16)化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化
(17)注文者が必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大
(18)化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外
(19)ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和
(20)作業環境測定結果が第3管理区分の事業場に対する措置の強化
(16)化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化
労働安全衛生法第57条で譲渡・提供時のラベル表示が義務付けられている化学物質(ラベル表示対象物)について、譲渡・提供時以外も、以下の場合はラベル表示・文書の交付その他の方法で、内容物の名称やその危険性・有害性情報を伝達しなければならない。
- ラベル表示物を、他の容器に移し替えて保管する場合
- 自ら製造したラベル表示対象物を、容器に入れて保管する場合
(17)注文者が必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大
労働安全衛生法第31条の2の規定で、化学物質の製造・取扱設備の改造、修理、清掃等の仕事を外注する注文者は、請負人の労働者の労働災害を防止するため、化学物質の危険性と有害性、作業において注意すべき事項、安全確保措置等を記載した文書を交付しなければならない。
この措置の対象となる設備の範囲が広がり、化学設備、特定化学設備に加えて、SDS等による通知の義務対象物の製造・取扱設備も対象となった。
(18)化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外
化学物質管理の水準が一定以上であると所轄都道府県労働局長が認定した事業場は、その認定に関する特別規則(特化則等)について個別規制の適用を除外し、特別規則の適用物質の管理を、事業者による自律的な管理(リスクアセスメントに基づく管理)に委ねることができる。
(19)ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和
有機溶剤、特定化学物質(特別管理物質等を除く)、鉛、四アルキル鉛に関する特殊健康診断の実施頻度について、作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合には、事業者は、その実施頻度(通常は6か月以内ごとに1回)を1年以内ごとに1回に緩和できる。
(20)作業環境測定結果が第3管理区分の事業場に対する措置の強化
a.作業環境測定の評価結果が第3管理区分に区分された場合の義務
① 当該作業場所の作業環境の改善の可否と、改善できる場合の改善方策について、外部の作業環境管理専門家の意見を聴かなければならない。
② ①の結果、当該場所の作業環境の改善が可能な場合、必要な改善措置を講じ、その効果を確認するための濃度測定を行い、結果を評価しなければならない。
b.a①で作業環境管理専門家が改善困難と判断した場合とa②の測定評価の結果が第3管理区分に区分された場合の義務
① 個人サンプリング測定等による化学物質の濃度測定を行い、その結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること。
② ①の呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認すること。
③ 保護具着用管理者を選任し、bとcの管理、特定化学物質作業主任者等の職務に対する指導(いずれも呼吸用保護具に関する事項に限る)等を担当させること。
④ a①の作業環境管理専門家の意見の概要と、a②の措置と評価の結果を労働者に周知すること。
⑤ 上記措置を講じたときは、遅滞なくこの措置の内容を所轄労働基準監督署に届け出ること。
c.bの場所の評価結果が改善するまでの間の義務
① 6ヵ月以内ごとに1回、定期に、個人サンプリング測定等による化学物質の濃度測定を行ない、その結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること。
② 1年以内ごとに1回、定期に、呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認すること。
d.その他
① 作業環境測定の結果、第3管理区分に区分され、上記a、bの措置を講ずるまでの間の応急的な呼吸用保護具についても、有効な呼吸用保護具を使用させること。
② b①とc①で実施した個人サンプリング測定等による測定結果、測定結果の評価結果を保存すること(粉じんは7年間、特別管理物質は30年間)。
③ b②とc②で実施した呼吸保護具の装着確認結果を3年間保存すること。