③石綿障害予防規則

令和2(2020)年7月1日に石綿則の大きな改正が行われ、規制が強化されました。
さらに、船舶の解体等の作業を行う際の事前調査に係る改正や工作物の解体等の作業を行う際の事前調査に係る改正が行われました。
また、バスマット等の板状の製品の材料として輸入された珪藻土の一部に基準を超える石綿が含有している事案が発生したため、石綿を含有するおそれの製品の輸入時の措置が強化されました。
この他、危険有害な作業を行う事業者に対して、作業を請け負わせる一人親方等や同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対する保護措置を講ずる 義務が課されたことにより、石綿則についてもこれらに係る措置の実施について具体的な事項を取り入れる改正が行なわれています。

建築物等の解体等に係る事業者に対する主な規制は以下のとおりです。

解体等の作業を行うときは、あらかじめ、石綿使用の有無を設計図書等や目視により調査する必要があります。(事前調査)
また、この事前調査を行なったにもかかわらず、当該解体等対象建築物等について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無について、分析による調査を行わなければなりません。
その結果については、所定の項目を記録し、調査終了日から3年間保存するとともに、解体等の作業を行う作業場には、調査終了日、事前調査等を行った部分、「石綿使用の有無」及び「石綿なしと判断した根拠」について、労働者が見やすい箇所に提示することが定められています。

この事前調査を適切に実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定める要件を満たした者による実施が義務付けられています。
また、工作物の調査についても、令和5(2023)年1月の石綿則の改正により厚生労働大臣が定める要件を満たした者による実施が義務付けられています。
石綿等の使用の有無についての分析調査についても、令和5(2023)年10月1日以降に解体等の作業が開始されるものについて、必要な知識を有する厚生労働大臣が定める者による実施が義務付けられています。

あらかじめ、①作業の方法および順序、②石綿粉じんの発散を防止しまたは抑制する方法、③労働者への石綿粉じんのばく露を防止する方法の3つの項目が示された作業計画を定め、計画に基づいて作業を行うとともに、関係労働者に周知させることが必要です。

令和4(2022)年4月1日からは、一定規模以上の建築物及び工作物の解体・改修工事について事前調査結果等の所轄労働基準監督署長への報告が義務付けられています。

吹き付けられた石綿および石綿含有保温材等の除去・囲い込み・封じ込めの作業を行うときは、作業場所の隔離をはじめとした次の措置を講じるとともに、その隔離を解く際には作業部位の湿潤化と石綿および石綿含有保温材等の除去完了の確認が必要とされました。

  1. 当該作業場所をそれ以外の作業場所から隔離すること。
  2. 作業場所の排気にろ過集塵方式の集じん・排気装置を使用すること。
  3. 作業場所の出入口に前室、洗身室、更衣室を設置すること。
  4. 作業場所および前室を負圧に保つこと。
  5. 隔離を行った作業場所において初めて作業を行う場合には、作業開始後速やかにろ過集じん方式の集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。
  6. ろ過集じん方式の集じん・排気装置に変更を加えたときは、排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。
  7. その日の作業開始前および作業を中断したときは、前室が負圧に保たれていることを点検すること。

石綿含有成形品を建築物、工作物または船舶から除去する作業では、切断等以外の方法により作業を実施しなければなりません。
ただし、切断等以外の方法により実施することが技術上困難なときは、この限りではありません。
やむを得ず切断等をする場合は、作業場所の隔離(負圧は不要)や作業中の石綿含有成形品の湿潤化が必要となります。

石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業を行う際、作業場所の隔離(負圧は不要)や作業中の石綿含有仕上塗材の湿潤化が必要となります。

建築物等の解体等の作業を行う仕事の発注者は、石綿等の使用の状況等に係る情報を有している場合、その仕事の請負人にその情報を通知するよう努めなければなりません。
また事前調査が適切に行われるよう、所持する情報の提供等の事前調査実施事業者への配慮が求められます。

石綿等の切断等の作業、石綿等を塗布し、注入し、または張り付けた物の解体等の作業等を行うときは、石綿等を湿潤な状態にする必要があります。

作業を行うときは、労働者に呼吸用保護具、作業衣または保護衣を使用させる必要があります。
なお、隔離した作業場所における吹き付け石綿等の除去の作業にあっては、呼吸用保護具は、防じん性能を有する電動ファン付き呼吸用保護具またはこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、循環式呼吸器もしくは送気マスク等に限られます。

技能講習を修了した者のうちから石綿作業主任者を選任し、次の事項を行わせる必要があります。

  1. 作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、またはこれらを吸入しないよう、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
  2. 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
  3. 保護具の使用状況を監視すること。

作業に従事する労働者に対して次の科目についての教育が必要です。

  1. 石綿の有害性
  2. 石綿等の使用状況
  3. 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置
  4. 保護具の使用方法
  5. その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項

石綿等を製造し、または取り扱う作業場において、常時これらの作業に従事する労働者については、その作業の記録および事故等による汚染の概要を記録し、これを保存することが求められます。
記録の保存期間は、労働者が常時これらの作業に従事しないこととなった日から40年間となります。

解体工事や改修工事の終了後においても、石綿ばく露防止のための必要な措置が適切に実施されたかどうかを確認できるよう、作業計画に基づく作業について、写真その他実施状況を確認できる方法により記録し、保存しなければなりません。