平成17年以前の石綿に係る規制は、特定化学物質等障害予防規則で規制されていましたが、石綿則が同年2月に公布され、その年の7月に施行されました。
この規則は、従来からの石綿含有製品の製造や使用以外に、今後急増すると予測される建築物の解体等作業による石綿ばく露による健康障害を未然に防止するために制定されたものです。
石綿則は、建築物の解体等の作業の実態、科学的知見の集積状況等を踏まえ、逐次整備充実されているところですが、平成26年の改正により、吹き付け石綿の除去についての措置、石綿を含む保温材や耐火被覆材などの取扱いに関する規制が強化されました。
建築物等の解体等に係る事業者に対する主な規制は以下のとおりです。
また、この改正に伴い、より具体的な対策を定めた労働安全衛生法第28条第1項に基づく技術上の指針の見直しが行われ、平成26年6月1日から、「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」が新たに適用されました。
ア.事前調査(石綿則第3条関係)
あらかじめ、石綿使用の有無を調査し、その結果を記録する。
また、調査を終了した日、調査の方法および結果の概要について、労働者が見やすい箇所に掲示する。
イ.作業計画(石綿則第4条関係)
あらかじめ、①作業の方法および順序、②石綿粉じんの発散を防止しまたは抑制する方法、③労働者への石綿粉じんのばく露を防止する方法が示された作業計画を定め、計画に基づいて作業を行う。
ウ.隔離等の措置(石綿則第6条関係)
吹き付け石綿の除去封じ込めの作業や石綿の切断などを伴う囲い込みの作業のほか、耐火被覆材等の石綿の切断などを伴う除去・囲い込み・封じ込めの作業を行うときは、次の措置を講じる。
- 当該作業場所をそれ以外の作業場所から隔離すること。
- 作業場所の排気にろ過集塵方式の集じん・排気装置を使用すること。
- 集じん・排気装置の排気口からの粉じんの漏洩の有無を点検すること。
- 作業場所を負圧に保つこと。
- 作業場所の出入口に前室を設置すること。
- 前室に洗身室、更衣室を併設すること。
- 前室が負圧に保たれているか点検すること。
- 異常があれば作業を中止し、集じん排気装置の補修などを行うこと。
エ.湿潤化(石綿則第13条関係)
作業を行うときは、石綿等を湿潤なものとすること。
オ.特別教育(石綿則27条関係)
作業に従事する労働者に次の科目について教育する。
- 石綿の有害性
- 石綿等の使用状況
- 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置
- 保護具の使用方法
- その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項
カ.作業主任者の選任(石綿則第19条、第20条関係)
技能講習を修了した者のうちから石綿作業主任者を選任し、次の事項を行わせること。
- 作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、またはこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
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局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
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保護具の使用状況を監視すること。
キ.保護具の使用(石綿則第14条、第44条、第45条関係)
作業を行うときは、労働者に呼吸用保護具、作業衣または保護衣を使用させること。
なお、隔離した作業場所における吹き付け石綿等の除去の作業にあっては、呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具またはこれと同等以上の性能を有する送気マスク等に限る。
ク.発注時における措置(石綿則第8条、第9条関係)
工事の発注者、注文者は次のことに配慮する。
- 発注者は、工事の請負人に対し、建築物等における石綿含有建材の使用状況等を通知すること。
- 注文者は、石綿等使用の有無の調査、解体方法、費用等について法令の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないようにすること。