「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令」(令和5年3月23日付け政令第69号)により、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(以下「G-PAPR」)が形式検定の対象となり、防毒マスクの使用が義務付けられている作業場所等で、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具も使用することができるようになっています。
また、形式検定に合格していない防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具は、令和8(2026)年9月30日までしか使用できませんので、それまでに型式検定に合格したものに変更する必要があります。
従来からの電動ファン付き呼吸用保護具については、「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」(以下「P-PAPR」)と名称変更されました。
また「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(令和5年5月25日付け基発0525第3号。以下「呼吸用保護具の選択、使用通達」)が発出され、「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成27年9月18日付け危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第3号)および「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」(令和5年4月27日付け技術上の指針第24号:以下「技術上の指針」)で定めるリスク低減措置として呼吸用保護使用する場合に、その適切な選択、使用、保守管理等に当たって留意すべき事項が示されました。
「呼吸用保護具の選択、使用通達」では、重要な内容が多岐にわたって示されています。
旧通達では、酸素濃度18%未満の場所ではろ過式呼吸用保護具を使用してはならないとされていましたが、新通達では、酸素欠乏またはそのおそれがある場所および有害物質の濃度が不明な場所ではろ過式呼吸用保護具を使用させてはならないと改められています。
酸素欠乏のおそれがある場所では、指定防護係数が1,000以上の全面形面体を有する、循環式呼吸器、空気呼吸器、エアラインマスクおよびホースマスクの中から有効なものを選択する必要があります。
引火性の物の蒸気または可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達する恐れのある箇所においては、非防爆タイプの電動ファン付き呼吸用保護具を使用することができません。
呼吸用保護具は、要求防護係数を上回る指定防護係数を有するものを選択する必要があります。
法令で呼吸用保護具の種類が規定されている場合には、法令に定める有効な性能を有するものを労働者に使用させなければなりません。
電動ファン付き呼吸用保護具に付属する警報装置が警報を発したら、速やかに安全な場所に移動して、新しいろ過材もしくは吸収缶または充電された電池との交換を行うことが必要です。
電動ファン付き呼吸用保護具が故障し、電動ファンが停止した場合は、速やかに退避が必要です。