労働安全コンサルタント(土木)口述試験やり取り
(令和4年1月中旬、大阪会場1日目)
1.受験動機
→法令遵守に偏りすぎた指導方法から脱却してより本質的な対策指導できる能力を向上させることを目的として受験した旨伝えた。
2.実際に発生した災害事例の原因と対策
→傾斜地での重機横転による死亡労働災害を例に
・作業計画の立案と周知
・誘導者の配置
・ROPS等を備えた重機の選定と配置
・有資格者による重機運転の実施
・重機稼働範囲の立入禁止措置の実施
などについて説明を行いました。
労働者の注意力に頼りすぎない、より本質的な対策を検討することが大切であると思われます。
3.オーサス(OSHMS、労働安全衛生マネジメントシステム)のメリットと導入を考えている事業主へどう説明するか(何から取り組んでいいかわからないとの質問にどう答えるか)
→メリットとしては、
・体系的、組織的な運用管理が行える
・事業場の安全衛生水準の向上が期待できる
・労働者の安全意識の向上が期待できる
・未導入事業場と比較し、労働災害が減少する
(認証後13~15年で年千人率が1/5という結果データあり)
といった点が挙げられることを説明しました。
何から取り組んでいいかわからないとの質問には、
・JIS Q45100では、KY活動や5S運動の項目も含まれていること。
・これらの活動から始めてみることも、オーサス(OSHMS)の取り組みの入口となっていること。
を伝えることができる、と回答しました。
4.建設業の元請が行う統括管理を五個挙げよ
→具体的には、
・現場における安全衛生方針の表明
・労働安全衛生管理計画の作成
・協議組織の運営、設置
・作業場所の巡視
・作業間の連絡、調整
・リスクアセスメントの実施
・関係請負人の行う安全衛生教育の指導援助
などが、挙げられます。
5.新規入場者教育で工夫されていた事案は?
→安全講話では、作業員の方に短時間で労働災害防止対策のイメージを持ってもらえるよう、アニメーションを駆使した映写データを活用していた事例について説明しました。
6.ドラグショベルを使用して、深さ2メートルの地山掘削作業を行う際に発生が考えられる災害を三つ挙げ、その対策を簡潔に述べよ
→様々な災害が考えられますが、具体例として
*ドラグショベルが、作業員に激突する
・立入禁止措置の実施や安全通路の設置
・やむを得ない場合は誘導者の配置等
このほか、ドラグショベルの用途外使用の禁止措置についても言及をしました。
*掘削した地山が崩壊する
・土留め先行工法を導入して施工する
・施工計画に係る事前調査の確実な実施
・作業主任者の選任と作業手順の策定と周知
などについて言及しました。
*掘削箇所付近での移動時に、作業員が墜落する
・立入禁止措置(手すり等の設置)の実施
・昇降設備の設置と維持
などについて言及しました。
<雑感>
受験動機や受験者の皆さん自身の労働安全業務にする経歴の棚卸しは、最初に行うことを勧めます。
自分自身で想定問答を用意して対応することになりますが、その際に日本労働安全衛生コンサルタント会が行う口述試験受験準備講習会(例年12月頃実施)を有効に活用することを検討してもらえるといいのではないのかと思います。
また、口述試験で回答する内容は、要点を抑え、だらだらと答えることがないよう、概ね30秒程度で答えられるように整理してみて下さい。
私もそうでしたが、実際の試験では緊張します。
そうすると普段は当たり前だと分かりきっている内容が出てきません。
「基本や当たり前のことを確実に説明する」という視点は大事にしてほしいと思います。
<再現にあたって>
上記のやり取りを再現する際、令和4年1月の口述試験終了時に作成した箇条書きメモを見ながら、令和7年5月に再現しました。
3年前の記憶・メモを基にしていますので、一部実際とは異なるやり取りもあろうかとは思いますが、概ね再現できています。