労働衛生コンサルタント(保健衛生)口述試験やり取り
(令和2年1月中旬、大阪会場1日目)
1.受験動機
→法令遵守に偏りすぎた指導方法から脱却してより本質的な対策指導できる能力を向上させることを目的として受験した旨伝えた。
2.労働衛生コンサルタントの業務内容と義務
→業務内容は
他人の求めに応じて、報酬を得て
労働者の衛生の水準の向上を図るため
事業場の衛生について診断と指導を行うこと
→義務としては、下記事項が挙げられる。
・信用失墜行為の禁止
・コンサルタント全体の不名誉となる行為の禁止
・業務で知り得た秘密についての守秘義務
・所定事項を記載する帳簿の備え付け
3.産業医と労働衛生コンサルタントの違い
→産業医は
事業場の一員として必要な労働衛生に関する勧告や指導を行う
→労働衛生コンサルタントは
外部の独立した立場から労働衛生に関する診断と指導を行う
4.有機溶剤の管理について
→数年前の試験のため詳細は忘れてしまいましたが、
・SDSで確認すべき事項
・労働者が行う作業の管理についての注意事項
等について質問されたように記憶しています。
なお、今後この項目は労働衛生コンサルタント(保健衛生)口述試験でもかなり頻度高く質問されることになると思われます。
詳しくは、別途私が作成している労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)口述試験の詳細を参照ください。
5.事務作業における労働衛生管理上の留意点
→作業場所の室温や照度の確保
・騒音機器がある場合の遮蔽措置
・通路幅の確保
・転倒防止措置の実施
・椅子や机の高さの設定(VDT作業)
などについて言及しました。
6.勤務先での事務作業で取り組んだ経験について
→上記5.に関連した内容として質問されました。
職員の机近くに印刷機が設置されていたが、椅子に職員が座った際の目の高さに印刷時に生じる照度の高い光が入り込む危険性がある状況が認められた事案を取り上げました。
具体的な措置として、レイアウトの変更や遮光するための可動式の衝立の設置を提案して改善した内容を説明しました。
7.腰痛に係る災害発生状況と対策について
→直近の統計を基に、例えば
令和4年の業務上の負傷に起因する疾病者数は約7000人であり、うち災害性腰痛が約6000人と8割以上を占めています。
特に第三次産業、その中でも社会福祉施設での疾病者数が増加傾向にあります。
これらの災害性腰痛を減少させるためには、様々な対策が必要ですが、その中でも「労働衛生の三管理」に基づく対策が必要と考えられます。
まず、「作業環境管理」の観点では
・作業場所での適切な温度確保や照明の確保
・作業床面の整備
・作業空間や設備、荷物の配置の適正化
といった対策が必要であり、
次に「作業管理」の観点では
・作業時間の短縮、休憩時間の確保
・作業手順の策定や見直し
・作業姿勢の省力化等を実現するため、スライディングボードや補助機器の使用
・やむを得ない場合には、2名で対応することとして、両名の身長差を少なくする
といった対策が必要であり、
「健康管理」の観点では
・定期健康診断以外に、腰部に係る特殊健康診断を年2回受診すること
・腰痛予防体操を導入、展開すること
といった対策が必要であると考えられます。
さらには、先ほど作業管理の観点で指摘した「作業手順の策定や見直し」に関連して、
・労働衛生教育の観点で、指導者から従事職員に対する教育指導の実施
といった対策を労働衛生の三管理に係る対策に併せて実施することがより効果的であると考えられます。
<再現にあたって>
上記のやり取りを再現する際、令和2年1月の口述試験終了時に作成した箇条書きメモを見ながら、令和7年5月に再現しました。
5年前の記憶・メモを基にしていますので、一部実際とは異なるやり取りもあろうかとは思いますが、概ね再現できています。