①初めにお読みください

労働衛生コンサルタント試験への向き合い方

 日本労働安全衛生コンサルタント会徳島支部のホームページにアクセスいただきありがとうございます。
共有準会員の吉成俊輔と申します。

 私自身がこれまで労働安全・労働衛生コンサルタント試験の受験にあたり、私が体験したこと、受験前に知りたかったこと、実際に受験して感じたことを整理して、労働安全・労働衛生コンサルタント試験の受験をお考えの皆様に少しでも参考になればと思っています。

<私のコンサルタント試験の受験歴>
  • 令和元年度:労働衛生コンサルタント(保 健  衛 生)試験最終合格
  • 令和3年度:労働安全コンサルタント(土木)試験最終合格
  • 令和5年度:労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)試験最終合格
<体験記を整理した経緯と流れ>

 私が職務の一環で、徳島産業保健総合支援センターの講習会(令和5年11月下旬開催)において、労働衛生コンサルタント(保健衛生)試験の受験体験を話してほしいと、令和5年4月に当時のセンター副所長から依頼がありました。

 その当時は、労働衛生コンサルタント(保健衛生)試験と労働安全コンサルタント(土木)試験の2つに最終合格していた時期であり、せっかく話をするなら、「現役の受験生で私も試験勉強頑張っています。」という環境になった方が、より説得的な話ができるのではないかと私自身考えるに至り、令和5年度の労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)試験の受験を決意するに至りました。

 そのような経緯があり、令和5年10月中旬に労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)の筆記試験を受け、その流れで作成した資料が、「1.労働衛生コンサルタント(保健衛生)試験の概要」にあたります(コンサルタント会のホームページ掲載時は1-1.序論から択一式試験編、1-2.専門記述試験編、1-3.口述試験編と三分割の上で掲載しています)。

 令和5年11月下旬の講習会での講演後、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)筆記試験に運良く合格できましたので、口述試験受検にあたり保健衛生区分よりも受験者の少ない労働衛生工学区分の受験者のために、口述試験の内容を詳細に伝えようと思い作成したのが「4.労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)口述試験のやり取り」です。
これは、口述試験終了後、試験会場の地下駐車場で2時間以内に作成したメモを基に再現していますので、3つの口述試験のやり取りの中では最も内容が充実していると思います。

 その後、徳島産業保健総合支援センターの講習会(令和6年11月上旬開催)で労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)試験の受検体験を話してほしいとの依頼が別途あり、依頼を受けて作成したものが「3.労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)試験の概要」になります。

 そして、それらの資料を整理・修正の上で令和7年5月に追加で作成・整理したものが、「2.労働衛生コンサルタント(保健衛生)口述試験のやり取り」と「5.労働安全コンサルタント(土木)口述試験のやり取り」の2本です。
この2本は、当時の口述試験終了時に作成したメモを基に再現していますが、箇条書きでの作成に留まり一部十分に再現できていない箇所がありますので、この点はお許しいただきたく存じます。

 以上の経緯と流れを踏まえて、作成した資料をご覧いただければ幸いです。

<筆記試験の対策>

 まずは、過去問をぜひ見てください。
直近2年度分であれば、公益財団法人安全衛生技術試験協会(コンサルタント試験の実施機関)のホームページで公開されていますし、それ以前の問題についても日本労働安全衛生コンサルタント会が刊行している「試験問題集(解答・解説付き)」が参考となります。

 参考書籍については、個人差もありますので、私の考えを述べることは差し控えておきたいと思いますが、試験内容はトピックス性の高い内容も多く出題されていますので、厚生労働省や職場の安全サイトのホームページ、各種リーフレットなどは適宜参照いただくことを勧めます。

 また、各筆記試験科目の対処方針は、私個人の完全な私見になりますが、

〇労働安全一般・労働衛生一般は少しでも多く正解できることを目指す「攻めの姿勢」で取り組む。

〇労働安全関係法令・労働衛生関係法令は、失点を少しでも抑えるという「守りの姿勢」で取り組む(私は3回とも法令科目は免除申請しましたが、実際に出題された問題を見ると、このように対処するだろうと考えています)。

〇専門記述試験は、計算問題以外の記述部分は「とにかく、箇条書きでいいので、何か書く。」という姿勢で取り組む。

という意識で私は考えていました。

<3回の口述試験の雑感>

口述試験の難易度・複雑度を振り返ると安全・衛生双方のコンサルタント試験を受けた受験生の皆さんが指摘している通り、労働衛生コンサルタント試験の口述試験が質問で深くその内容を試問されているように感じられました。

今後、「化学物質の自律的管理」は重要な施策になりますので、労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生工学」の区分受験者だけでなく、「保健衛生」の区分を受験される皆様もぜひ理解していただきたい内容だと思います。
 詳しくは、3つの口述試験におけるやり取りの再現を見て、いただければと思います。

<口述試験で意識してほしい視点> 

 労働衛生コンサルタント試験の概要でも触れていますが、労働衛生コンサルタント試験や労働安全コンサルタント試験は、「労働衛生」や「労働安全」に関わる国家試験であることを特に意識してほしいと思います。

 労働衛生コンサルタント試験は、医療職(医師、歯科医師、保健師や看護師など)の方の受験も多いと思いますが、口述試験不合格になった方の複数の体験記を見てみると、労働衛生三管理のうち「健康管理」のところを意識しすぎているのではないかと感じることがあります。
医療関係の知識は、既に医療職に係る各国家試験に合格されていることでその能力があることを確認されているわけですから、「労働衛生」が主眼である労働衛生コンサルタント試験で改めて医療関係の知識があることを確認されているわけではない(一部そのような質問をされることもありますが、大半を占めるようなことはほとんどないでしょう)、という点は少し意識しておいていただければと感じています。

 これは、労働安全コンサルタント試験(特に土木や建築区分)でも同じで、1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士の有資格者の方が専門科目免除で受験されるケースが多いと思いますが、口述試験では施工管理そのものの知識があることを確認されているのではなく、「労働安全」に関する知識や考え方が試問されていると意識していただければと思います。

 そして、労働安全・労働衛生コンサルタント試験は「学術的」な資格ではなく、「労働安全・労働衛生の実務」に関わる試験であるということも意識していただきたいと思っています。
口述試験では、「このような状況で、あなたはどのように取り組んできたか、改善していたか、対応していたか。」という点が必ずと言っていいほど問われています。

 他人がしてきた内容ではなく、他でもない受験者自身が悩みながらも実際に対処してきた内容は何か(当然、労働安全・労働衛生の目的に反しない内容であることは言うまでもありません)ということを、自分の考えた言葉で、過不足なく端的に説明することが求められているわけです。
ここで述べた視点は少しでもいいので頭の片隅に置いていただけると幸いです。

<最後に>

 私が作成した資料や上記で述べた見解は、私自身の完全な私見であること(所属組織の公式見解ではない)を改めて明記させて頂きます。

 情報が比較的少ない試験であるとは思いますが、少しでも皆様の参考となることを願っています。
お読みいただきありがとうございました。