騒音職場で作業者の騒音性難聴の発生を防止するため対策のひとつとして聴覚保護具が使用されます。
「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」(令和5(2023)年4月20日付け基発0420第2号)によって、作業場の種類により等価騒音レベルの測定方法(作業環境測定、個人ばく露測定、定点測定、推計による方法)が定められています。
等価騒音レベルの測定結果等が、第Ⅱ管理区分または85dB以上90dB未満の場合では、必要に応じ、聴覚保護を使用させること。
第Ⅲ管理区分または90dB以上の場合では、聴覚保護具を使用させなければなりません。
聴覚保護には、耳栓やイヤーマフ(耳覆い)があり、遮音性能を表す数値(JIS T 8161-1に基づき測定された遮音値)であるSNR値やHML値などが示されています。
騒音測定の結果(ばく露騒音レベル)からSNR値等を差し引いた値が概ね70–80dBの範囲に収まる製品(必要かつ十分な遮音値のもの)を選ぶ必要があります。
危険作業等において安全確保のための周囲の音(警告音等)を聞く必要がある場合や会話が必要な作業の場合においては、遮音値が必要以上に大きい聴覚保護を選定すると、オーバープロテクションになります。
周囲の状況が分かりづらく危険察知が遅れる、コミュニケーションに支障が出るなどのリスクがにつながるので、過剰な遮音をしない留意も必要です。
作業場の騒音レベルが高く、耳栓だけでは十分な防音効果が望めない場合には、イヤーマフを併用することも有効です。
人の耳の形状は一人ひとり異なるので、その人の耳によくフィットする聴覚保護を選択する必要があります。
聴覚保護具も呼吸用保護具と同様に、正しく装着されないと示されている遮音効果は望めません。
聴覚保護具の使用方法の教育を行うとともに、遮音性能測定器を使用して作業者一人ひとりが必要な遮音効果が得られているかどうかの確認(フィットテスト)が推奨されています。