④化学物質をめぐる制度改正 <5>

有害物の有害性等を周知させるための掲示に係る規定の改正

事業者は、特定の有害物を取り扱う場所については、有害物の有害性等の周知のため、必要な事項について労働者が見やすい箇所に掲示する義務があったが、加えて労働者以外の者にも見やすい箇所に掲示しなければならなくなった。

事業者は、特定の有害物を取り扱う場所については、有害物の有害性等を周知させるため、有害物の人体に及ぼす作用等について掲示する義務があるが、掲示するべき事項のうち、「特定の有害物の人体に及ぼす作用」を「特定の有害物により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状」に改めるとともに、「保護具を使用しなければならない旨」が掲示するべき事項に追加された。

事業者が有害物の有害性等を掲示しなければならない義務は、有機則、特化則、石綿則に規定されているが、改正安衛則(ダイオキシン類関係)、改正鉛則、改正四アルキル鉛則および改正粉じん則にも同様の規定が設けられた。

事業者は、特定の場所について、装置故障時の連絡方法、事故発生時の応急措置等必要な事項を労働者が見やすい箇所に掲示または明示する義務があるが、加えて労働者以外の者にも見やすい箇所に掲示または明示しなければならないこととなった。

特化則等の改正(塩基性酸化マンガンと溶接ヒューム)

「塩基性マンガン」および「溶接ヒューム」について、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることから、特定化学物質の管理第2類物質に新たに「溶接ヒューム」が追加された。
また、管理第2類物質であった「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)」について「(塩基性酸化マンガンを除く)」が削除され、塩基性酸化マンガンも特定化学物質の管理第2類物質となった。
この結果、溶接ヒュームおよび塩基性酸化マンガンに係る作業または業務について、新たに作業主任者の選任、作業環境測定の実施(塩基性酸化マンガンのみ)および有害な業務に現に従事する労働者に対する健康診断の実施など、法令に応じた措置が必要となった。

安衛法、安衛令、安衛則の改正(健康管理手帳の交付対象)

労働基準法施行規則、別表第1の2に掲げる業務の疾病に、オルト-トルイジンによる膀胱がんが追加されたこと等を受け、安衛令第23条の健康管理手帳の交付の対象となる業務に、オルト-トルイジンおよびオルト-トルイジンを含有する製剤その他のものを製造し、または取り扱う業務が追加された。