騒音は、人に不快感を与えるほか、会話や連絡合図などを妨害し、安全作業の妨げになることも多く、生理機能にも影響し、騒音性難聴の原因となるので、できるだけ騒音を抑制し、作業者の騒音ばく露を少なくしなければなりません。
騒音ばく露によって引き起こされる疾病に、騒音性難聴があります。
騒音性難聴には、一時的に聴力が低下する場合と永久的に聴力が低下する場合とがあります。
このうち一時的なものは、騒音ばく露後の短時間で起こり、可逆的(回復する)なもので、聴覚の疲労現象であるともいえます。
騒音性難聴は、周波数4,000Hz付近の聴力が最初に低下してきます。
一方、会話音域は通常500Hzから2,000Hz程度ですから聴力低下は自覚されませんが、聴力低下が進行してこの音域まで及ぶと会話に支障が出てきます。
騒音性難聴は、騒音の音圧レベルが高いほど、ばく露時間が長いほど、周波数が高いほど起こりやすいので、できるだけ下記の事項に留意することが基本的な対策となります。
- 騒音レベルを低くすること
- 騒音ばく露時間を短くすること
- 周波数を低くすること
特に聴力の永久損失は、現段階では治療方法がないので、適切な対策を講じ、騒音性難聴を防止する必要があります。
厚生労働省では「騒音障害防止のためのガイドライン」を示しています。
このガイドラインは、労働安全衛生規則第588条に定める8屋内作業場(騒音測定が義務づけられている作業場)および騒音レベルが高いとされる52作業場を対象に、作業環境管理、作業管理、健康管理および労働衛生教育等の騒音障害防止のための具体的な対策を示しています。